【号外】まもなく宇宙へ!~X線天文衛星ひとみ(ASTRO-H)~

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打ち上げ成功
2016年2月17日、H2Aロケット30号機によってASTRO-H(愛称「ひとみ」は予定の軌道に無事投入されました

今回、国際天文衛星ASTRO-H(旧称:NeXT)の打ち上げが2月12日(延期:2月17日)に迫っているので号外記事を書くことになりました、技術局の本庄です。
X線について、X線と宇宙開発の関係、ASTRO-Hの仕組み、ASTRO-Hによって期待されることという風にASTRO-Hについて紹介します。

X線について

X線という言葉を普段聞くことはレントゲン写真などでしょうか?X線とは簡単にいうと波長が短くエネルギーが大きい光です。X線を出している天体は宇宙にたくさんありますがX線を地上からみることはできません。人間が見ることのできる光は可視光といい、波長が380ナノメートル~770ナノメートルである領域の光です。これに対し、X線の波長は1nm~0.01nmです。波長が短い光は可視光に比べ、屈折しにくく、透過力が高く、エネルギーが高いです。このような光は普通のガラスレンズで集めたり、鏡で反射させることが困難です。レントゲンなどで用いられるX線は波長が0.01nmくらいの硬X線であり透過力が強いです。波長が1nmほどの軟X線は透過力がさほど強くないです。

X線と宇宙開発の関係

宇宙には数億度という超高熱減少から、絶対零度に近い超低温の現象まで様々な現象があります。波長が短いX線やγ線を放出するのは、星の爆発や、ブラックホールなど、数万度から数億度という極めて温度の高い極限状態での現象です。ほかにも活動銀河核、銀河団といった巨大な重力や爆発エネルギーを伴う現象がX線を放出しています。ブラックホールはいまだに詳しいことがわからない天体の一つですが、b光さえも外に出ることのできないほどの重力を持つ天体であり、周囲の物質を引き込むときに強烈なX線を放射するということが分かっています。また、活動銀河は非常に遠方にある銀河で電波、X線、ガンマ線など広い範囲の波長で光る銀河です。また1000分の1秒にX線の強さが大きく変化する天体もあります。このようにX線がかかわる、エネルギーの高い現象は銀河や銀河団の形成に深く関わっていて、宇宙の進化を理解するうえでとても重要です。
20世紀半ば、電波や赤外線、X線といった人間の目で見ることのできない光を用いて宇宙を研究することで天文学は急激に発展しました。

ASTRO-Hのしくみ

ASTRO-HにはX線CCDカメラが搭載されています。可視光のカメラと原理はあまり変わらず天体からやってくるX線をとらえて画像を撮影します。ASTRO-Hにはあたった電子の数をエネルギーの量として、エネルギーの量を測ることができる軟X線撮像検出器が搭載されています。さらにこれに加え、より高い波長域での撮影が可能になった硬X線撮像検出器も搭載されており、テルル化カドミウムと呼ばれる化合物を用い、軟X線の10倍近いエネルギーの波長を観測することもできます。
ASTRO-Hにはほかにもマイクロカリメーターと呼ばれる装置が搭載されています。これはX線が素子に当たった時にわずかに上がった温度を利用してエネルギーの強さを測る装置です。マイクロカリメーターを利用すると入ってきたエネルギーの量、つまり波長を非常に細かく計測できます。X線による温度変化はごくわずかであるため検知するためには装置を絶対零度近くまで冷やさなければなりません。今回搭載されるマイクロカリメーターとほぼ同じものが2005年に打ち上げられた“すざく”にも搭載されていましたが、冷却に必要な液体ヘリウムが打ち上げ後にぬけてしまい、観測できませんでした。ASTRO-Hではより信頼性の高い設計に改め、世界ではじめてマイクロカリメーターによる観測に挑みます。

ASTRO-Hによって期待されること

これまで説明した装置にくわえ、様々な装置を用いASTRO-Hはブラックホールの周辺や超新星爆発など、いうなればTHE宇宙ともいえるような現象、つまり高エネルギーの現象に関する銀河団の観測を行い、宇宙の構造や進化を探ることができるといわれています。宇宙に存在する90%以上の物質はX線でしか観測できないといわれています。逆を言えば、90%以上のものを観測できるかもしれないということです。すごいことですね。
このようにASTRO-Hは様々な素晴らしい機能を搭載しており、日本だけでなく世界各地の研究からの期待を背負い2月12日に宇宙へ飛び立つのです。個人的なことではありますが、私はASTRO-Hにほかの衛星よりも思い入れがあります。私が約2年半前に参加したJAXA筑波宇宙センターのサイエンスキャンプにおいて設計途中のASTRO-Hを見ました。あの時に見たASTRO-Hがついに宇宙へ飛び立つのかと思うととても感動します。打ち上げの中継も行われます。

打ち上げ情報

打ち上げ成功
2016年2月17日、H2Aロケット30号機によってASTRO-H(愛称「ひとみ」は予定の軌道に無事投入されました

打ち上げ日:平成28年2月17日(水)
打ち上げ時刻:17時45分(日本標準時)
打ち上げ時間帯:17時45分〜18時30分(日本標準時)
打ち上げ予備期間:平成28年2月13日(土)〜平成28年2月29日(月)
長い年月をかけて完成したASTRO-Hの出発をライブで見てみてはいかがでしょうか?

打ち上げ中継サイト(現在は録画配信)

長い年月をかけて完成したASTRO-Hの出発をライブで見てみてはいかがでしょうか?

YouTube(https://youtu.be/kH-wJ1E00wA)

ニコニコ生放送(http://live.nicovideo.jp/watch/lv248768262)

 

画像出典:
ASTRO-Hプロジェクトサイト
http://astro-h.isas.jaxa.jp/wp-content/uploads/2013/02/pct05_b.jpg

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