アツいぞ「月探査」!~かぐや・SLIM~

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こんにちは!関西支部の品川玲央です。
今回のリレー記事は「月探査」について書いていこうと思います。

(アイキャッチ画像:JAXAデジタルアーカイブズ(http://jda.jaxa.jp)より)

世界の月探査

皆さんは、現在どの程度まで世界中の月探査が進んでいるかご存知でしょうか?
アポロ計画以来、月探査は行われてこなかった…?いやいや、そんなことはありません。

「月をめざす世界」(http://gate.main.jp/saiki_lab/moon.html)より

「月をめざす世界」(http://gate.main.jp/saiki_lab/moon.html)より

これは、世界で今までに行われた、そして、これから計画されている月探査のロードマップです。
そう、世界が打ち上げる月ロケットの数は増えてきているのです。
アポロ計画時代、アメリカと並ぶ大国ソ連でも有人月探査は諦めざるをえなかった。しかし科学技術が発展している今、大国でなくても月に行くことができる時代にきています。月旅行を計画している民間企業もあるくらいです。

では、何故月なのか?「アポロ計画で月は解明されたのでは?」「今は月じゃなくて火星でしょう?」そんな意見の方は少なくないと思います。
アポロ計画で行われた月探査はまだまだ月を解明する第一歩にすぎず、火星探査も月が重要な鍵になっていくのです。

実はアポロ計画では、月の表側しか探査しておらず、月の裏側が未解明のままでした。持ち帰られたサンプルも、月の特殊な場所のものでした。ですが、予算や世間の「あんなに月に行ったんだからもう解明されたでしょう」という声などの関係上、20年ほど月探査は行われてきませんでした。ですが1994年にアメリカが「クレメンタイン探査機」を打ち上げ、再び月探査が始まったのです。
火星探査に月が重要というのは、月が火星に行くための経由地点に最適だからです。未開発の月にはロケットの燃料となり得る豊富な資源があります。それらを利用できれば、火星に行くこともさらに容易になるでしょう。

日本の月探査

それでは、日本の月探査について紹介したいと思います。

①月周回衛星「かぐや(SELENE)」

JAXAデジタルアーカイブズ(http://jda.jaxa.jp)より

JAXAデジタルアーカイブズ(http://jda.jaxa.jp)より

「かぐや」は高度約100kmの極・円軌道を周回する主衛星と、より高い楕円軌道を周回する2機の子衛星(「おきな(リレー衛星)」・「おうな(VRAD(ブイラド)衛星)」)から構成されます。2007年に打ち上げられ、2009年にどちらも月の表側に制御落下しました。

主な目的は、
・月の起源と進化の解明のための科学データを取得する
・月探査に必要な技術開発を行う
というもので、アポロ計画以来「最大級」の月探査でした。
かぐやに搭載された多数の観測機器は、最先端となるデータを出していて、現在も解析が続けられています。

その観測機器の一つに地形カメラがあります。アポロ計画では、行くことができなかった月の裏側まで、ほぼ全てが撮影されていて、非常に興味深いものとなっています。

その地形カメラで撮影された映像を解析し、世界で初めて見つけたものが、縦穴構造です。3つ発見されました。昨年ニュースにも流れた、月面着陸機「SLIM」(②で詳しく説明)の着陸候補地点でもあります。(縦穴構造については後に説明します。)

②月面着陸機「SLIM」

JAXAWebサイト(http://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/toppupeji.html)より

JAXAWebサイト(http://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/toppupeji.html)より

「SLIM」とは2019年に打ち上げ予定の月面着陸小型探査機です。
・小型の探査機で、月への高精度着陸技術の実証
・従来より軽量な月惑星探査機システムを実現し、月惑星探査の高頻度化
を目的として計画されています。
高精度着陸技術とは、 従来の「降りやすいところに降りる」ではなく、「降りたいところに降りる」技術のことです。これが実現できれば、月はもちろん他の惑星・衛星等に着陸探査をするときにも活用でき、研究の幅が広がるのではないでしょうか。
探査機の軽量化は、後に計画されている、月のサンプルリターンや、有人探査など、実現の確率が高くなると思います。ロケットの打ち上げは、数グラム単位でも命取りですから…。
また、このSLIMは予算が150億円と他の探査機より低コストで計画されており(通常400億程です)今後の惑星探査に大きな影響を与えるでしょう。

そして、先ほども述べた着陸候補地点の1つが「縦穴」です。月の表側のマリウス丘にあります。
ほぼ円形で直径60〜70m、深さは地表面下80〜90mの円筒状の穴です。月の地下の溶岩チューブに続くものだと考えられています。
溶岩チューブとは、火山活動の時に溶岩が流れ出した後にできる空洞で、ハワイ島や富士山麓に多数ある洞窟もそうです。縦穴はその溶岩チューブが形成された際に、地下から溶岩が吹き出したときにできた穴だと考えられています
地下にあるため、チューブ内はマイナス20度程度で一定で、隕石衝突や放射線被曝からも身を守れ、密閉性も良いのでレゴリスを気にする心配もありません。それらのことから、未来の月基地の有力な候補の1つとしてあげられています。

実は日本はまだ、月面着陸をしたことがないのです!このプロジェクトが日本初の月面着陸となります。その日本初の着陸地点が未来の月基地になれば…なんだかワクワクしますね!!

これらのプロジェクトから、日本の月探査のさらなる発展が期待できそうです。私もそれらのプロジェクトの一員となって月を解明していきたいです…!

宇宙兄弟のヒビトのように、月面でジャンプができるのもそう遠くないかもしれませんね!

参考

この記事は以下の著書、ウェブサイトを参考に作成しました。
「世界はなぜ月を目指すのか」著.佐伯和人
「月の世界」http://gate.main.jp/saiki_lab/moon.html
「月へ、そして遥かなる宇宙へ(春山純一先生のホームページ)」http://www.isas.jaxa.jp/j/about/professor/h/haruyama/index.html
「月周回衛星『かぐや』(JAXA)」http://www.selene.jaxa.jp/ja/index.htm
「月面着陸機『SLIM』」http://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/toppupeji.html

(以上全て最終回覧日2016年2月5日)

アツいぞ「月探査」!~かぐや・SLIM~」への3件のフィードバック

  1. 匿名

    スリムが予定通り月面着陸できたら、竪穴3つとも探査するのか。将来の重要な宇宙基地候補なので、出来れば3つとも日本の基地として確保の上、精査して欲しい。2018年が待ち遠しい。

    返信
    1. 中嶋鴻明(Nakajima Komei)

      三つの洞穴内はマイナス20度程度で隕石衝突や放射線被曝からも身を守れる点で、確かに基地としてのメリットがある点は理解できます。でもそれだけでは長期滞在用の基地としては不十分です。水やエネルギーが必要になる筈です。水やエネルギーが洞穴内に賦存している確証があるのでしょうか。それとも、その可能性があるだけなのでしょうか。

      返信
      1. 品川玲央

        コメントありがとうございます!
        水やエネルギーが存在しているかはわかりませんが、月に基地を作るメリットに、1番距離が近く燃料等が送りやすいという点に私は注目しました。そう簡単にできるものではないと思いますが、その点から縦穴に資源が無くても長期滞在は可能と私は考えます。

        返信

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