【号外】【詳説】高度化ってなにさ?〜H2A29号機の進化

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先日、H-ⅡAロケット29号機が打上げが行われ、無事成功しました。この29号機では様々な技術的改良が加えられました。その中で新技術となった高度化について取り上げます。

静止トランスファー軌道?静止軌道?

まず、皆さんの中で衛星がどうやって静止しているか知っている人は少ないと思います。静止衛星とは、ある決まった地点を常に観測するためにあります。そして、衛星自体が静止しているわけではなく、地上から見て静止しているという意味です。つまり、地球の自転に合わせて軌道を周回しています。この軌道を静止軌道と言い、この静止軌道に衛星を投入するために使う軌道を静止トランスファー軌道と言います。

静止軌道に入るまで〜軌道修正の必要性

次に、どうやって静止軌道に衛星を投入するかについてです。赤道上からの打ち上げでは、そのまま静止トランスファー軌道から静止軌道に入ることができます。

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しかし、緯度の高いところからの打ち上げでは、そのまま静止トランスファー軌道から静止軌道に入ることが出来ません。そのため、軌道修正をおこないます。

軌道修正〜具体的に何やるの?

それでは、軌道修正についてです。種子島からの打ち上げの際、静止軌道と打ち上げた軌道の傾斜角は28.5°になります。その軌道を修正をするのは現行では衛星自体が行っていました、しかしそれでは衛星にとって大きな負担となります。そこで、ロケットが軌道修正を手伝おう!というのが今回の高度化です。この際、再々着火を行います。

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再々着火に伴う問題点と解決策

H-2Aロケット29号機ではそれぞれの問題を以下のように解決しています。

  • 増速度(エンジンを再々着火したときの加速)について

再々着火をすると増速度が下がるのでスロットリング(推力調整)を用いて推力を下げ、燃焼時間を延ばす。

  • 温度環境の維持について

機体を回転させるバーベキュー・ロールにより一方向だけが日に当たるのを防ぐ。

  • 電力確保について

ロケットの第2段ステージには太陽光パネルは搭載していないので、大容量リチウムイオンバッテリーを搭載。

これらにより、傾斜角を20°までに減らし衛星への負担を減らすことを実現しました。これらの技術はイプシロンロケットの高度化にも使われる予定です。

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※ロケット第2段ステージの着火について

着火→主エンジン燃焼後
再着火→クリスマス局(衛星追尾に使う)の上空を過ぎたあたり
再々着火→軌道修正のとき

参考:https://drive.google.com/file/d/0B5BrDmlbmIpGbU1YTnlXd29qOHc/view?usp=docslist_api

画像:JAXA

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