第8回 「冬のダイヤモンド」

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こんにちは。第8回のリレー記事を担当させていただく天体物理局の竹村です。

夜空はさまざまな天体ショーで僕たちを楽しませてくれます。最近では皆既月食を見たという方も多いのではないでしょうか。しかし、夜空の魅力はそういった天体ショーや望遠鏡を使わないと見えない銀河や星雲だけではありません。毎日、太陽が沈むと見えるようになる星空も非常にきれいです。特に、冬は湿度が低く、空気が澄んでいて天体観測の季節と言えます。また、冬には明るい星が多く、暗い場所に行かなくても十分天体観測が楽しめます。今回の記事では冬にぜひ見てほしい星々やそれらが作る星座について紹介していきますので、最後までお付き合いください。

冬の星座と聞いてまず思い浮かべるのがオリオン座ではないでしょうか。砂時計のような星々の並びはとても有名です。このオリオン座はギリシャ神話に登場する狩人オーリーオーンを題材としたものです。右手にこん棒を持ち地面に足を向けこちらを見ている狩人を想像してください。右脇の位置にある星がベテルギウスで、左足の位置にある星はリゲルと呼ばれています。これらは1等星に分類されています。1等星は全天で21個しかありませんが、88個星座がある中でオリオン差は2個も1等星を持っています。さて、オリオン座の真ん中に横に並んだ3つの星があります。そして、その下に縦に並んだ明るいものが見えます。これがオリオン大星雲と呼ばれるもので、少し倍率の高い双眼鏡などで見ることができます。このオリオン座の周りにある星座をこれから紹介していきます。

オリオンの右足の延長方向に明るい星があります。これがおおいぬ座の1等星シリウスです。星の名前の由来はギリシャ語の「光り輝く者」や「焼き焦がすもの」といった意味の言葉です。この星は-1.5等星で太陽の次に地球から明るく見える恒星です。ここで星座の話から一度離れて星の明るさの話をしましょう。“地球から明るく見える”というのと“その星が別の星よりも明るく輝いている”というのは全く違います。近くの星は明るく見え、遠くの星は暗く見えるというのはすぐ想像できると思います。この見かけの明るさのことを「実視等級」と言います。一方、星々から同じ距離だけ離れて明るさを表す「絶対等級」という考え方があります。一般に星の明るさを表す時に「等級」という単位を使います。等級が1小さくなると明るさは100倍明るくなり、0よりも小さくなるとマイナスを付けて表します。我が太陽は-27等星ですが、絶対等級を考えると4.9等星ほどになります。このように考えると太陽は宇宙の中でごくありふれた星であることがわかってもらえると思います。

では、星座の話に戻りましょう。

ここからはオリオン座を中心としてシリウスから時計回りに星を見ていきます。そうすると、シリウスの次にこいぬ座の1等星プロキオンという星が見つかります。名前は「犬の前に」という意味です。これはおおいぬ座のシリウスよりも少し前に昇ってくるということから来ています。このこいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウスを合わせて冬の大三角と呼ばれています。続いて仲良く並んだ2つの星が見えます。これがふたご座の2等星カストルと1等星ポルックスです。プロキオンに近い方が弟のポルックスです。ふたご座にはすばらしい兄弟愛の神話があるので、興味のある方はふたご座の神話を調べてみてください。ふたご座の次には少しつぶれた五角形の星の並びがあります。これをぎょしゃ座といい、最も明るい星が1等星カペラです。その次はVの形をしたおうし座です。この星座の1等星がアルデバランと呼ばれる星です。この周辺には地球から最も近いヒアデス散開星団があります。これまで紹介したおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、そしてオリオン座のリゲルを合わせて冬のダイヤモンドと呼ばれています。ふたご座のカストルがここに加わることがあります。この星の並びは暗い場所へ行かなくても見ることができるので、機会があれば夜空を見上げて探してみてください。

最後にもう一つ冬の空に見逃せない天体があります。ベテルギウスからアルデバランの方へ目を動かすとアルデバランを少し過ぎたところにある星の集まり、プレアデス星団です。和名を昴(すばる)といい、車のブランドのSUBARUのロゴにもなっています。肉眼で星を区別するのは少し難しいかもしれませんが、双眼鏡や望遠鏡を使うと星がたくさん集まっている様子がわかります。

以上で星空案内を終わります。この記事で皆さんが星空を眺めてみようかなと思っていただけたら幸いです。長文お付き合いいただきありがとうございました。

次回の記事は12月14日、若林さんの担当です。

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