第7回 「宇宙の有機物 ~ALMAからの甘いお知らせ~」

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こんにちは。第7回リレー記事を書かせていただくこととなりました天体物理局の山田です。よろしくお願いします。近くにぐんま天文台という大きな天文台があり、その関係で宇宙に興味を持ちました。化学にもとても興味があり、今回は宇宙でたくさんの有機物を発見しているALMA望遠鏡について紹介したいと思います。

日本から1万7千キロメートル、辺りには荒地が広がり、生物の気配などほとんど感じさせないようなチリのアタカマ砂漠に、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本の技術を結集してつくられたALMA望遠鏡があります。望遠鏡と言っても我々が想像するような望遠鏡ではありません。この望遠鏡は、宇宙からやってくる電波をとらえて、それを調べて可視光線では見ることのできない宇宙を観測しようとする、パラボラアンテナ群です。

ALMAは直径12メートルのアンテナを50台組み合わせるアンテナ群と、直径12メートルのアンテナ4台と直径7メートルアンテナ12台からなる「アタカマコンパクトアレイ (ACA:モリタアレイ)」で構成されています。これらを組み合わせて観測することで、直径18.5キロメートルの望遠鏡と同じ性能を発揮することが出来ます。普通の光学望遠鏡で世界最大のものは約9メートルですからこの数字がいかに大きいか実感していただけることでしょう

さて、それではこのALMA望遠鏡で分かった宇宙の神秘の一部を紹介していきましょう

1.グリコールアルデヒド

2012年8月、欧州南天文台を中心とする国際共同研究チームは、太陽と同じくらいの質量の赤ちゃん星の近くにグリコールアルデヒドという砂糖の一種が発見しました。濃度が高いわけではないのでその赤ちゃん星の周りが甘くなっているということはないのですが、このような身近な物質が宇宙にも存在するということが分かったのです。ちなみにこのグリコールアルデヒドという有機物は我々が普段目にする観葉植物などの植物の中にも含まれています。

2.シアン化水素

2013年10月、東京大学大学院理学系研究科を中心とする国際研究チームは活動的な超巨大ブラックホールの周辺に、シアン化水素(青酸)が大量にあることが分かりました。これは宇宙空間に於いては特殊な分子なのですが、それが大量にあるということで、ブラックホールの大きな重力が化学組成に影響を与えていることが分かったのです。青酸は猛毒で、ドラマなどで良く出てくる青酸カリと似ています。火事が起きたときにアクリル製品から発生して、中毒を起こすこともある危険な物質です。いつか、人類が遠い宇宙へ出て行ったとき、吸い込まないように気を付けなくてはいけませんね(笑)

3.イソプロシアニド

2014年9月29日、ドイツ・マックスプランク電波天文学研究所を中心とする国際研究チームは星間空間にプロピルシアニドという有機物の、同じ数、同じ種類の原子からできている構造の異なる分子、イソプロピルシアニドを発見しました。この分子は枝分かれ構造をしている点で前出の分子と異なるのですが、今回の発見でこのような構造をした有機物が宇宙にもたくさんあるということが分かりました。この発見は宇宙での化学変化、物質変化を考える基礎となるものなので、今後の研究の発展が期待されています。

というわけで、3つの発見を紹介しましたが、このほかにもたくさんの様々な発見をALMAはもたらしています。第3回の記事で冥王星についてのお話しがありました。その冥王星に今向かっているニューホイラズンズという探査機がありまして、これを冥王星の位置測定の面からサポートしているのもALMAです。

最後のは余談でしたが世界の技術を結集して建設されたALMAは今後も様々な発見で我々をわくわくさせてくれることでしょう。ALMAと天文学のさらなる発展を願って、この長くなってしまった記事の締めくくりとさせていただきたいと思います。お付き合いいただき、ありがとうございました。

次回の記事は11月23日、竹村君の担当です。どんな記事になるかとても楽しみにいます。

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