第6回 「日本の民間宇宙開発」

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皆さんこんにちは!
リレー記事第6回を執筆させていただく技術局の間宮一誠です。

今年は降雨を観測するGPM衛星の打ち上げに始まり、宇宙博や皆既月食などの様々な宇宙イベントがありましたね。しかしまだまだ終わりません。11月30日にはやぶさ2の打ち上げが控えています。目が離せませんね!

JAXAやNASAの活動もとても興味深いですが、今回は敢えて民間宇宙開発、特に「日本の民間宇宙開発」に焦点を合わせてみようと思います。

海外の民間企業では特にアメリカのSpace X社が有名ですね。(※1)このSpace X社はインターネットベンチャー企業「PayPal」を創設したイーロン・マスク氏によって設立された民間宇宙開発企業です。NASAと物資を国際宇宙ステーション(ISS)まで運搬する「商業軌道輸送サービス」に関して契約を結び、2012年にSpace Xが開発した宇宙船「ドラゴン」が民間によって開発された宇宙船として初めてISSにドッキングしました。さらに別の民間企業オービタル・サイエンシズ社(OSC)が開発した宇宙船「シグナス」が2013年にISSとのドッキングに成功しました。現時点でどちらも貨物の輸送のみに対応していますが、Space Xのイーロン・マスク氏は先日、人を輸送できる有人型ドラゴンの試作機を公開しました。2015年に無人で試験機を打ち上げて、2016年から有人飛行のテストに入る予定です。(※2)
以上の企業の他にも宇宙船や宇宙ステーションの開発に名乗りを上げている企業が多数あります。

このように海外、特にアメリカではベンチャー企業が積極的に宇宙開発を行っている印象があります。では日本ではどうでしょうか。私自身日本で目にするニュースや新聞等での報道で見かける宇宙関連の内容は大体JAXA関連の内容で占められている気がします。正直日常生活の中で日本の民間宇宙開発について耳にする機会はほとんどないように感じられます。では日本では民間による宇宙開発は全く行われていないのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。実は日本でも民間主体で宇宙開発を行おうとする動きがいくつかあります。今回はその中でも二つほど、簡潔に紹介したいと思います。

・HAKUTO

皆さんは日本で民間による月面探査が計画されていることをご存知ですか。実は先の宇宙博でも展示されていたのですが、HAKUTO(ハクト)という民間宇宙開発チームが存在します。以下にHAKUTOのホームページより抜粋した内容を記します。(※3)

“HAKUTOはGoogleによる国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に参戦する日本唯一のチームとして、2015年までのロボットによる月面探査を目指している日本発の民間宇宙開発チームです。Google Lunar XPRIZEとはGoogleがスポンサーとなり民間による月面探査を行う国際的な宇宙開発レースで、世界から18チームが参加しています。(2013年12月27日時点)”

HAKUTOはプロジェクトリーダーの袴田武史氏を筆頭に、東北大学工学部の吉田和哉教授を中心とした様々なメンバーが開発に携わっています。

私は幸運にも吉田教授にお会いする機会が何度かあり、話を伺ったところ「これからの宇宙開発はJAXAだけでなく、民間でも宇宙開発ができるのではないか。国が主体となる宇宙開発は予算の関係上構想から実行するまで数十年かかってしまう上に莫大な予算が必要です。しかし民間のチームが民生品をうまく活用してものにしていけば格段に安く、そして短い期間内に実行できると思います。」と仰いました。

HAKUTOはローバーのみの開発で、着陸自体は他のチームに相乗りする形を検討しているそうです。

・HASTIC 北海道宇宙科学技術創成センター

こちらは北海道内にある宇宙関連施設や大学の研究室をネットワーク化して宇宙開発を推進しているNPO法人です。研究開発やセミナーの開催など幅広く活動していますが、その中でも特に注目したいのがハイブリッドロケット「CAMUI(カムイ)」の開発です。ハイブリッドロケットとは燃料である推進剤に火薬類を使用せず、固体燃料と液体酸化剤を組み合わせて使用するロケットです。従来の推進剤と違い、管理・運用コストが大幅に抑えられるメリットがありますが、同時に推進力が低いというデメリットを抱えています。このデメリットを解決すべく開発されたのがCAMUIロケットです。技術に関する詳しい内容は参考文献を参照してください。(※4)

開発は北海道大学工学部の永田晴紀教授の研究室が主体的に行っているそうです。加えて北海道の大樹町にある多目的航空公園を将来的にスペースポート(宇宙港)とする「北海道スペースポート計画」が提案されています。(※5)

上記に加えて企業や団体、大学の研究室が宇宙開発に積極的に参加する事例が多数あります。これから大学進学を控えている人はJAXAや国の仕事だけでなく、こうした民間の活動も参考にしてはいかがでしょうか。

次回は11月9日、天体物理局の山田君の担当です。どんな記事を書いてくれるのでしょうか、楽しみですね!

<参考文献>(2014年10月19日時点)
※1: http://www.spacex.com/
※2: http://response.jp/article/2014/05/31/224411.html
※3: http://team-hakuto.jp/
※4: http://www.hastic.jp/camui/default.htm
※5:http://www.town.taiki.hokkaido.jp/soshiki/kikaku/kikaku/tmap-future.html

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