【報告】杜の都で天文学者になってみた!

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昨年(2015年)の12月20日~26日にかけて東北大学理学部天文学教室と仙台市天文台で開催された「もしも君が杜の都で天文学者になったら……。(通称もし天)」にSPICAから2人が参加しました。参加したお二人からの報告です!

※内容に重複などありますが、著者の意志・想いを尊重して、本文のまま掲載しております。

※見出しは広報部でつけさせていただきました。

齋藤鈴花さん(関東支部所属)

関東支部の齋藤鈴花です。
昨年12月20日〜26日に東北大学理学部天文学教室と仙台市天文台にて開催された「もしも君が杜の都で天文学者になったら…。」通称 :「もし天」に参加してきましたので、その時の模様を報告いたします。

仙台市天文台外観。メイン会場です!

仙台市天文台外観。メイン会場です!

今年は全国から宇宙に興味・関心のある12人の高校生が集まり、それぞれ4人ずつ、恒星・銀河・宇宙論を主な研究対象とした3つの班に分かれて活動を行いました。選考通過後の希望調査によって各班員が決定し、私はその3つの中で宇宙論班に配属されました。一週間という限られた期間で、研究テーマを決めるところから始まって、対象天体の検討・仙台市天文台1.3mひとみ望遠鏡を使用しての観測・データ解析・考察・発表準備・仙台メディアテークでの研究発表会と、天文学者が行っている一連の研究活動を体験することができました。また、東北大学理学部天文学専攻の学部生・院生、宮城教育大学の学生のみなさんもティーチングアシスタントとしてサポートして下さり、アドバイスを頂いたり、時には一緒に悩んで考えて下さったおかげで、よりスムーズに研究を行うことができました。

研究~ダークマターの質量~

ここから、私が7日間で研究したことについて詳しく書いていきたいと思います。

私たち宇宙論班は、宇宙全体のエネルギーの約23%を占めているにもかかわらず未だ正体不明である謎の物質・ダークマターについて研究しました。特に、恒星を観測して調べることで得られる光学的質量 (明るさからもとめられる質量) と銀河や恒星の運動からもとめられる力学的質量の差分からダークマターの質量を考察し、銀河や恒星からなる集団の大きさとダークマターの質量の相互関係について調べました。

そのため、観測する時間に見える天体を考慮した結果、Abell426 ペルセウス座銀河群 (大規模な銀河の集団)・HCG92 ステファンの五つ子 (小規模な銀河の集団)・M81とM82 (銀河=恒星の集団) を対象天体として観測を行い、それぞれ光学的質量と力学的質量をもとめてダークマターの質量を考察する必要がありました。しかし、天候の影響もあって、本来なら力学的質量をもとめるために実施する必要のある分光観測が行えなかったため、力学的質量に関しては論文からデータを引用しました。

観測で用いたひとみ望遠鏡。口径1.3m(☆。☆)

観測で用いたひとみ望遠鏡。口径1.3m(☆。☆)

一方の光学的質量は、分光観測に比べて観測する時間が短くて済む撮像観測を行ったため対象もばっちり捉えることができ、それらのデータを Makali’i というソフトを使って測光して光学的質量をもとめました。

これらのデータが揃ったのが研究発表会前日の深夜。そこから、睡眠時間を削って徹夜で考察・パワーポイント作成を行い、発表会が始まるギリギリまで改良を重ね、なんとか本番を迎えることができました。

壁一面の書き込み。苦労が伺えます。

壁一面の書き込み。苦労が伺えます。

表やグラフが入り乱れて何がなんだか(笑)

表やグラフが入り乱れて何がなんだか(笑)

緊張の本番

仙台メディアテーク7階スタジオシアターで行われた本番では、天文学に関する知識の無い一般の方々にも分かるように、パワーポイントを使って、時には身振り手振りも交えながら、一週間の研究成果を発表しました。発表の際には質疑応答も行われ、自分では理解しているつもりでも人に分かりやすく説明することはとても難しいと感じました。

また、発表会には日本天文学会会長も務めていらっしゃる東北大学の市川隆教授や東北大学天文学専攻長の二間瀬敏史教授もいらっしゃって、とても緊張したのを覚えています。発表会終了後に行われた修了式では、二間瀬教授から修了証書を授与していただき、参加した高校生が1人ずつ感想を述べ、最後にTAのみなさんから高校生全員にサプライズで寄せ書きをいただいたりと、本当に最後の最後まで充実した7日間でした。

もし天で学んだこと

私がこの体験で得たものは、天文学に関する知識はもちろんですが、普段の学校生活では決してできない貴重な経験をできたこと、苦労しながらも難題に取り組む根気強さ、そして、自分と同じように宇宙を志す仲間たちとの出会いでした。

また、今回の研究を通して、宇宙の最大の魅力は未知であることだと改めて感じました。1つ何かが分かると10の分からないことが生まれると言われるほど、宇宙には数え切れないほど沢山の謎があります。それらの謎に挑戦したいと思う高校生・中学生は、ぜひ来年以降の「もし天」に参加してみて下さい!きっと新たな発見に出会えるはずです。

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月岡みなみさん(関西支部所属)

関西支部の月岡みなみです。
昨年参加したもし天について報告します。

私は銀河班に配属されました。

銀河班の研究テーマは「銀河団の観測による新しい銀河の分類の提案」。
銀河を楕円銀河・渦巻銀河・棒渦巻銀河・レンズ状銀河のように形で分類しているハッブル分類ですが、それらの形に当てはまらない銀河がすべて不規則銀河としてまとめられていることに私たちは疑問を持ちました。そして、形以外の方法で銀河に規則性を見つけることができれば、不規則銀河も含めすべての銀河を例外なく分類できると考えました。

観測・解析・発表!

観測室風景

ひとみ望遠鏡を制御する観測室。暖房が効いていて暖かいのです(^o^)

まずしたのは天体の観測。

プロポーザル(観測提案書)を書き、厳しい審査を受けてようやく観測をすることができました。

私たちは分類するためにできるだけたくさんの銀河を観測したかったので、銀河がたくさん集まっている銀河団を観測することにしました。悪天候により予定していた量のデータは得られませんでしたが、それらの銀河をMakali`iというソフトを使って解析しました。

何を使って銀河を分類するか、様々な案が出ましたがすべてやるには時間が足りず、比較的すぐに求められる色・光度(明るさ)の相関関係から新しい分類方法を探っていきました。

そしてあっというまに発表会当日。

「天文学の知識のない方々にもわかりやすい説明で」──私たちの班が一番苦労したことです。

今までで一番納得のできる発表・質疑応答が出来ましたが、それと同時にまだまだ自分の勉強不足を痛感した日でした。

「やらない後悔よりやる後悔」

書き込みで一杯のホワイトボード。座右の銘が目立ってます!

書き込みで一杯のホワイトボード。座右の銘が目立ってます!

『やらない後悔よりやる後悔』これが私たち銀河班の座右の銘であり、私がもし天で学んだことです。

何もしないで後悔するぐらいなら、挑戦して失敗した方が良い。その失敗は必ず次につながる。

それを信じて1週間、時には徹夜をして研究を続けました。

もし天のススメ

もし天は、本物の天文学者を体験できます。

7日間ひたすら脳を使って、宇宙と向き合います。

今まで遠かった宇宙が、口径1.3mのひとみ望遠鏡で見ることによって、同じ宇宙という夢を持った仲間と過ごすことによって、少し近く感じられました。
来年参加しようか迷っている高校生のみなさん、宇宙に興味・関心のある未来の高校生のみなさん、是非一度応募してみてください!

必ず濃い1週間が待っています。

やらない後悔よりやる後悔!!

 

もし天について

もっと「もし天」について知りたい!と思った方はぜひ「もし天」のWebサイトをご覧ください!

「もしも君が杜の都で天文学者になったら…。」https://www.astr.tohoku.ac.jp/~hken/MosiTen/Welcome.html

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